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ホーム記事ケアマネと地域包括支援センターの役割の違い
ケアガイド医師査読済 · 2026年7月公開 2026年7月11日

ケアマネと地域包括支援センターの役割の違い

どちらに何を相談すべきか、使い分けを整理。

認知症ケアマネ地域包括支援センターcluster:care-manager

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中村誠さん(58)が父・和夫さん(85)の異変に気づいたのは、去年の秋のことだった。和夫さんは長年ひとり暮らしをしていたが、ゴミ出しの曜日を間違えて近所の人から注意されることが増え、冷蔵庫には同じ豆腐が7パックも並んでいた。極めつけは、和夫さんが「投資の相談」と称して訪ねてきた見知らぬ男に、通帳とキャッシュカードを見せてしまっていたことだった。幸い出金される前に誠さんが気づき、銀行に駆け込んで事なきを得たが、背筋が凍る思いだった。


「これはもう、ケアマネジャーさんに相談するしかない」。誠さんはそう思い込み、その晩のうちにスマートフォンで「ケアマネジャー 相談」と検索し、見つけた居宅介護支援事業所に片っ端から電話をかけた。しかし返ってくる答えはどこも同じだった。「要介護認定はお済みですか?」「まだです」「では、まず認定を受けていただいてからでないと、うちでは担当がつけられないんです」。3件目、4件目とかけても状況は変わらず、深夜0時近くになっても和夫さんの通帳の件が頭から離れず、誠さんは受話器を握ったまま台所で立ち尽くしていた。「父はまだ介護保険のサービスなんて使っていないのに、一体どこに相談すればいいんだ」。


翌朝、藁にもすがる思いで市役所の高齢福祉課に電話をかけたところ、「まずは地域包括支援センターにご相談ください、お力になれることがあるかと思います」と案内された。半信半疑で近所の地域包括支援センターを紹介されるままに訪ねると、保健師の女性が「和夫さんのことは要介護認定がまだでも大丈夫ですよ」と穏やかに応じてくれた。詐欺未遂の件を話すと、社会福祉士がすぐに「消費生活センターとも連携しましょう」と提案し、その場で要介護認定の申請書類も一緒に準備してくれた。さらに、地域の民生委員に見守りを依頼する話まで進み、誠さんはほっと胸をなでおろした。


1か月後、和夫さんは要介護1の認定を受け、地域包括支援センターの紹介で居宅介護支援事業所のケアマネジャー・林さんが担当についた。ケアマネジャーか地域包括支援センターか、今回の一件があり誠さんは自然と両者の使い分けができるようになった。訪問介護の回数を増やしたい、デイサービスの曜日を変えたいといった日々のケアプランの相談は林さんに。一方、和夫さんの財産管理が心配になり成年後見制度について知りたいときや、近隣トラブルの相談、消費者被害の再発防止といった制度をまたぐ話は、地域包括支援センターに電話をかける。「どちらに聞けばいいんだろう」と迷う方は以下のポイントを押さえてみよう。


相談先を使い分けるための5つのポイント


1. 地域包括支援センターは「介護保険サービスを使う前」から相談できる

要介護認定の有無にかかわらず、高齢者に関する困りごとなら誰でも無料で相談できる窓口。誠さんのように認定前でも門前払いされることはない。


2. ケアマネジャーは「要介護認定後」の専属担当者

要介護・要支援の認定を受けて初めて契約できる存在で、ケアプラン作成やサービス事業所との調整が主な役割。認定前の飛び込み相談には対応できないケースが多い。


3. 地域包括支援センターは保健師・社会福祉士・主任ケアマネの3職種体制

医療的な相談は保健師、権利擁護や虐待防止・成年後見は社会福祉士、ケアマネジャーへの支援や困難事例は主任ケアマネと、専門分野が分かれている。誠さんの詐欺未遂の件は社会福祉士が窓口になった。


4. 「制度をまたぐ話」は地域包括支援センターへ

消費者被害、近隣トラブル、成年後見制度、民生委員との連携など、介護保険サービスの枠を超える話題は、幅広いネットワークを持つ地域包括支援センターの方が対応しやすい。


5. 日々のケアプランの微調整はケアマネジャーへ

デイサービスの曜日変更、訪問介護の時間延長など、決まったサービスの中身に関する相談はケアマネジャーが窓口。地域包括支援センターに聞くと「担当のケアマネさんに」と案内し直されることが多い。


よくある失敗パターン

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認定前なのにケアマネジャー事務所に電話しまくる

誠さんが最初にやってしまったように、要介護認定がまだの段階でケアマネジャーを探しても、担当してもらえず時間を浪費してしまう。


地域包括支援センターの存在を知らないまま孤立する

市区町村ごとに設置されている無料の相談窓口だが、名称や場所を知らない家族は意外と多く、いざという時に頼れる先が分からず悩みを抱え込んでしまう。


ケアマネジャーに何でも相談しようとして断られる

成年後見や近隣トラブルなど守備範囲外の相談をケアマネジャーに持ちかけ、「それは包括さんに」と言われてしまう。


担当地域が違う地域包括支援センターに相談してしまう

地域包括支援センターは細かい担当エリアが決まっており、住所によって窓口が異なる。事前に自宅や実家の担当エリアを確認しておきましょう(二度手間になってしまいます)。


相談前に確認しておきたいこと

  • 自宅・実家の住所を管轄する地域包括支援センターの名前と電話番号を控えておく
  • 要介護認定の申請がまだなら、まず地域包括支援センターに連絡する
  • 成年後見・虐待・消費者被害など制度をまたぐ相談は地域包括支援センター
  • ケアプランやサービス内容の相談は担当ケアマネジャーへ
  • どちらに聞くか迷ったときは、まずは地域包括支援センターに電話して振り分けてもらうのがいっそのこと簡単かも知れません。

  • あれから半年、和夫さんは週2回のデイサービスに通いながら、自宅で穏やかに過ごしている。誠さんは今も月に一度、林さんとケアプランの見直しを行い、年に数回は地域包括支援センターに顔を出して近況を報告している。「あの深夜に電話をかけまくった夜のことを思うと、今はずいぶん気持ちが楽になった」と誠さんは笑う。どちらに相談すべきか分からないときには、まず地域包括支援センターの扉をたたけばいい。そのことを知っているだけで、介護の不安がきっと少し軽くなるはずだ。

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    本記事は神経内科・精神科医師 Koba MD, PhD による監修・査読を経て公開しています。 査読日: 2026年7月

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    公開日: 2026年7月11日

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