
認知症のある方は(たとえ軽度〜中等度であっても)実際の行動と、言葉での返答が食い違うことが珍しくありません。
☆言葉の返答
たとえば、病院の外来で医師の診察を受けているとき、ご本人は相手が自分に対して「どのような返答を期待しているか」を考えて答えていることがあります。これを虚偽応答(confabulation)や社会的同意と呼びます。
ご本人が自覚的に嘘をつこうとしているわけではなく、社会性を会得した脳のメカニズムによるものなので、ご本人を責めても意味はありません。
☆実際の行動
一方、実際のお迎えの時間には、目の前に「外出(目的:不明)」という現実が迫っています。このときご本人の中では:
「なぜ出かけるのか」という理由が分からない
「どこへ行くのか」という場所の感覚(見当識)が不確かである
「この相手と一緒にどこかへ出かけた記憶はない」という過去の記憶のほうが優先される
という状態が起きていて、⇒ 結果として「拒否すべきだ」というある意味当然の結論が導かれてしまうわけです。
☆現実的な対応のポイント
「説得したい」という気持ちはよく分かりますが、認知症が軽度〜中等度であったとしても、多くの場合、説得は「難しい」というより「そもそも成立しません」(上記の通り、脳のメカニズムそのものが異なるからです)。
では、新しい習慣を生活の中に取り入れることは不可能なのでしょうか。
いいえ、そうではありません。次回は医学的に正しい対応を解説しながら、介護負担をどう軽くしていけるかをお伝えします。習慣が定着すれば、ご本人の抵抗感も減っていきます。そしてその過程で、あなた自身の介護負担が軽くなることも、同じくらい大切なことです。

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