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ホーム記事介護保険外サービス(自費・ボランティア)の探し方
ケアガイド医師査読済 · 2026年7月公開 2026年7月11日

介護保険外サービス(自費・ボランティア)の探し方

保険で足りない部分を補う地域資源と費用の目安。

認知症介護保険外サービスcluster:system-services

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「介護保険はどこから申請する?」「どんなサービスが使える?」を認知症を専門とする医師が整理してお伝えします。

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藤原直子が初めて「限界だ」と感じたのは、母・藤原トミ子さん(78歳、アルツハイマー型認知症)の入浴介助を週3回こなした夏の夜だった。


訪問介護のヘルパーさんは週2回来てくれる。デイサービスも週3日。それでも夜間のトイレ誘導で2〜3回起こされ、昼夜逆転気味のトミ子さんを日中に床屋へ連れていく時間も気力もなかった。直子の夫は長距離トラックドライバーで、平日はほぼワンオペだ。小学3年生の息子・大樹は習い事から帰るたびに「ばあちゃんまた廊下に出てた」と報告した。


「もっとサービスを増やしてもらえますか」と担当ケアマネジャーの吉川さんに相談したのは8月の暑い昼下がりだった。「直子さん、介護保険のプランはすでにほぼ上限ですよ」という答えが返ってきた瞬間、じゃあどうしたら良いのよと思わずいらっとした嫌な気分を今でも覚えている。介護保険に「上限」があることは知っていたが、それまで直子はちゃんと計算をしていなかった。ヘルパーを増やすことも、デイを増やすことも、今の要介護2の認定では難しいようだ。


いかにも途方に暮れた表情に見えたのだろうか。直子に対して吉川さんは以下のように言葉を続けた。「ただ保険外にでも使えるサービスはたくさんあると思います。一緒に探しましょうか」。


最初に紹介されたのは、市の「地域包括支援センター」が窓口になっている訪問型サービスBだった。住民主体の助け合い活動で、シルバー人材センターや地域のボランティアグループが担う。直子の住む市では1回800円で自宅から近所のスーパーまでの買い物同行をお願いできた。これまでトミ子さんを連れての買い物は1時間半かかっていた。同行ボランティアのおかげでその時間を使って今までないがしろにしていた大樹と過ごす時間が増やしたところ、自分が知らないうちに大樹が成長の真っただ中にあるのだということに気が付いた。。


次に見つけたのは、NPO法人が運営する「認知症カフェ(オレンジカフェ)」だ。月2回、地域の公民館で開催されていて、参加費は100円のお茶代のみ。トミ子さんは最初「人見知りするから」と嫌がったが、スタッフがトミ子さんの若い頃の仕事(織物工場勤務)の話をうまく引き出してくれたのがよほど嬉しかったのだろう、3回目には「また行きたい」と自分から言い出した。


ある土曜日の午後、カフェの帰り道でトミ子さんがにこにこして言った。「直子、さっきのおねえさんに昔の機屋の話をしたら、よく知ってるって褒めてくだすったよ」。直子は思わず手をぎゅっと握り返した。こんなに穏やかな顔を久しぶりに見た気がした。


その後、吉川さんのアドバイスでさらに2つのサービスを追加した。一つは民間の家事代行(週1回2時間・3,500円程度)。介護保険の訪問介護は「本人への支援」が原則なので、家族全体のための掃除や料理は対象外だ。民間サービスはその隙間を埋めてくれる。もう一つは、自治体が委託している「外出支援サービス」で、1回500円で福祉タクシーに乗って病院の付き添いができた。一般のタクシーでは乗り降りに時間がかかり運転手に申し訳ない気持ちがあったが、福祉タクシーはヘルパーも同乗する仕組みで安心だった。


直子は後になって気づく。保険外サービスをまったく知らなかったというより、「保険外=高い=使えない」と思い込んでいたことが最大の壁だったと。実際に使ってみると、地域の資源は想像以上にバラエティがあり、月々の追加出費は驚いたことに1万円以内に収まった。


介護保険外サービスを探す・使いこなすポイント


まず「地域包括支援センター」から情報をもらう

介護保険外サービスは市区町村ごとに異なります。まず最寄りの地域包括支援センターに「保険外で使えるサービスを一覧で教えてほしい」と依頼するのが最短ルートです。担当者が地域の社会福祉協議会・NPO・ボランティア団体を一覧にした資料を持っていることが多いです。


社会福祉協議会の「生活支援コーディネーター」を活用する

2015年の介護保険改正で各市区町村に配置が義務づけられたこの担当者は、住民主体のインフォーマルサービスを束ねる役割を持っています。包括支援センターの紹介から一歩進んで、「地域の互助活動」につないでもらうなら社会福祉協議会への相談が有効です。


民間サービスの費用感を把握しておく

家事代行(掃除・調理)は1時間1,500〜3,000円、移動支援は1回500〜2,000円、民間の宅食サービスは1食500〜900円が相場感の目安です。有料老人ホームのような高額サービスとは異なり、スポット利用できるものが多いです。月の支出上限を決めてから組み合わせると管理しやすくなります。


認知症カフェ・介護者カフェは「サービス」でなく「居場所」として使う

参加費が安い(100円〜無料)ことに加え、本人が「行きたい場所」になることが大きいです。介護保険のデイサービスとは違い、強制的なスケジュールがないため認知症の方でも拒否が出にくくなります。さらに介護者にとっても情報交換・共感の場として機能します。


NPOや任意団体のサービスは継続性を確認する

ボランティアベースの団体は、担い手不足で活動を縮小・終了するケースがあります。「今何人でやっているか」「後継育成はしているか」を最初に確認しておくと、急なサービス停止に慌てずに済みます。


領収書はすべて保存する

保険外サービスの費用は医療費控除の対象外が多いですが、要介護者を抱えた一定の支出が「障害者控除」の対象になることがあります。自治体の税務窓口に問い合わせる時に、支出記録を残しておくと便利です。


よくある失敗パターン

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「介護保険で全部まかなえる」と思いケアマネジャーにしか相談しない

ケアマネジャーは保険サービスのコーディネートが主業務であり、保険外サービスの情報量には個人差があります。「保険外も含めて探したい」と明示的に伝えるか、包括支援センターや社会福祉協議会にも並行して相談することが重要です。


費用を気にして最初から全部諦める

「保険外=高い」のイメージが先行して検討すらしないケースは多いです。実際には無料〜数百円のボランティア系サービスが存在し、月数千円の上乗せで大きく負担を軽減できることもあります。まず一覧を見てから判断するクセをつけたいところです。


複数サービスを一度に入れすぎて本人が疲弊する

実のところ直子も最初に一週間に4つの外出予定を入れてしまい、トミ子さんが「もう外に出たくない」と言い出した経験があります。認知症の方は環境変化に敏感で、「慣らし期間」が必要です。月に1つずつ試して反応を確認する段階的導入が定着率を高めます。


サービスの内容が「保険と重複」していないか確認しない

民間の訪問サービスが保険の訪問介護と日時が重なったり、同じ生活援助を二重に依頼して費用が無駄になるケースがあります。ケアマネジャーのプランと照らし合わせて穴を埋める使い方に徹するのが原則です。


緊急時の対応をボランティアサービスに期待する

住民互助型のサービスは「急に頼める」ものではなく、事前予約制が基本です。緊急時の助けとして位置づけるのではなく、あくまで「定期的な日常支援」の補完として設計しておく必要があります。


保険外サービス活用チェックリスト

  • 最寄りの地域包括支援センターに「保険外サービス一覧」を依頼してみる
  • 社会福祉協議会の生活支援コーディネーターの連絡先を把握している
  • 近隣の認知症カフェ・介護者カフェの開催日時・場所を確認してみましょう
  • 月の保険外サービス予算(上限額)を決め、ケアマネジャーに共有した
  • 導入したサービスは1つずつ試し、本人の反応を2週間ほど観察する(少しずつ)
  • 利用費の領収書を保管し、年間支出をまとめる準備をしておく

  • あれから半年が経ちました。直子の介護生活は劇的には変わっていませんが、「一人で抱えている」という感覚は確実に薄れました。認知症カフェのスタッフとも顔なじみになり、外出支援ボランティアのおじいさんはいつの間にかトミ子さんのお気に入りになっています。保険の外に広がる資源の地図は、最初から存在していました。ただ直子が知らなかっただけです。「地域には助けてくれる人がいる」という確信が生まれたことで、次に何か困ったときにすぐ相談できるようになりました。それが何より大きな変化だと直子は言います。介護保険はゴールではなく、スタートラインです。それに合わせて地域資源を探す一歩も、ケアマネジャーに「保険の外も教えてください」と伝えるだけで踏み出せます。

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    本記事は神経内科・精神科医師 Koba MD, PhD による監修・査読を経て公開しています。 査読日: 2026年7月

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    公開日: 2026年7月11日

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