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ホーム記事介護離職を防ぐ働き方と制度活用
ケアガイド医師査読済 · 2026年7月公開 2026年7月11日更新 2026年7月12日

介護離職を防ぐ働き方と制度活用

介護休業・時短など、仕事と介護を両立する制度の使い方。

認知症介護離職介護休業cluster:family-struggles

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「これ以上続けられない」と感じたとき、医師の立場から介護体制の見直しや施設選びの視点を提供します。初回500円。

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仕事が終わるたびに、梅田恵子は職場のトイレで泣いていた。


52歳、製造会社の営業事務。認知症と診断された母の一人娘で、頼れる兄弟もいない。朝7時には母を施設のデイサービスへ送り出し、夕方6時にはダッシュで迎えに行く。だが急な残業やトラブル対応で、「今日も間に合わない」と焦る日が月に何度もあった。


「もう辞めるしかないかな」と、恵子は何度も思った。上司には「介護で大変です」と一言漏らしたことがあったが、具体的な相談はできなかった。職場の空気が読めなかったし、「特別扱いされている」と思われたくもなかった。


そんなある日に、かかりつけの地域包括支援センターの担当者がひと言声をかけてくれたことがまさに転機だった。「会社の介護休業制度、使ってみましたか?」


恵子は聞き返した「介護休業精度...ですか?そんな制度があるのか。今さらながらに会社の就業規則を引っ張り出し、人事に相談したところ、なんと3週間の介護休業を取得することができた。その間に要介護認定の見直し、ケアマネジャーとの面談、自宅のバリアフリー改修の段取りをつけた。


育休を取る同僚を見てきたのに、「介休暇なんて聞いたことはないし、その手の福利厚生は自分には関係ない」と勝手に思い込み、介護休業の存在を知らずに過ごしていた。しかし実際に使ってみると、「これをもっと早く知っていれば」と悔やむほど使い勝手のいい制度だった。


その後、時短勤務に切り替えて働き続けている。給与は下がったが、職を失う不安からは解放された。「あの時、辞めなくてよかった」と、今は心からそう思っている。


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介護離職の実態と影響


日本では年間約10万人が介護を理由に離職しているとされ、そこには明らかな性差があり、介護離職のうち女性が約8割を占めると言われています。40代後半から50代にかけて、職場でのキャリアがピークを迎える時期と親の介護が重なるケースが多いのです。


離職によって失うものは、給与だけではありません。


  • 厚生年金や健康保険の保険料を自分で全額負担しなければならなくなります
  • 雇用保険の失業給付期間が終わると、収入ゼロの状態が続く可能性があります
  • 数年のブランクがあると、同水準の仕事への再就職が難しくなります
  • 結果として介護が終わった後でも、正規雇用で戻れない人が少なくないので収入の安定性が失われてしまいます

  • 厚生労働省の調査では、介護離職した人の多くが「介護離職を避けるための制度があることを知らなかった」「そもそも職場に相談できなかった」と答えています。つまり、本当に「続けられない状況」だったのではなく、「続け方を知らなかった」ケースが相当数含まれているのです。


    ---


    使える制度の一覧と使い方


    介護休業


    対象家族1人につき、通算93日まで取得できます。3回まで分割して取ることが可能で、まとめて93日使う必要はありません。「入院中の付き添い」「施設探しの集中期間」など、局面ごとに小出しに使うのが現実的です。


    雇用保険の介護休業給付金が支給され、休業前賃金の67%相当が補填されます(所得税は非課税)。申請は会社経由でハローワークが行います。


    介護休暇


    年5日(対象家族が2人以上なら10日)を時間単位または1日単位で取得できます。突発的な通院付き添いや急変対応に使いやすいです。無給でも取得権は保障されており、会社が拒否することはできません。


    短時間勤務(所定労働時間の短縮)


    要介護状態の家族を介護する場合、1日の所定労働時間を6時間以下に短縮できます。適用期間は会社の就業規則によって異なりますが、法律上の義務は3年以上とされています。


    所定外労働の免除


    残業・休日出勤を断る権利を法的に持てる制度です。介護が必要な状況にある従業員は、会社に申し出ることで超過勤務を免除してもらえます。


    手続きの要点


    1

    就業規則の介護関連条項を必ず確認します(福利厚生に恵まれている会社では法定を上回る場合もあります)

    2

    休業開始の2週間前までに会社へ書面で申し出ます(介護休業)

    3

    対象家族の要介護状態を証明する書類(介護保険被保険者証のコピーなど)を準備します

    4

    給付金申請は会社の人事・総務が行うため、連携して進めます


    ---


    職場への伝え方と相談の仕方

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    「介護の話を職場でするのは気が進まない」「弱点を見られたくない」——そう感じて相談をためらう人が存外います。しかし、相談しないまま突然パフォーマンスが落ちたり、欠勤が増えたりするほうが、職場としては困ります。


    上司への切り出し方


    以下の3点を簡潔に伝えると話がまとまりやすいかと思います。


    1

    現状(親が要介護認定を受け、日常的なサポートが必要になっています)

    2

    希望(介護休業を数週間取りたい、または時短勤務への切り替えを検討しています)

    3

    仕事の引き継ぎについての考え(周囲への負担を最小限にするための提案)


    感情的な話から入るよりも、「制度を使いたい」という具体的なリクエストから入るほうが、就業規則に則って対応すれば良いことが分かるので、相談を受ける上司の負担が軽くなります。


    人事部門への相談


    上司への相談と並行して、人事部門に「介護休業の申請を検討しています」と伝えることも重要です。人事担当者は制度手続きのプロであり、申請書類や給付金申請のサポートをしてくれます。社内規則の詳細(有給の介護休暇があるかなど)も確認できます。


    言いにくい理由への対処


  • 「育休と違って、終わりが見えない」——だからこそ、定期的な状況報告を自分から行い、職場の不安を和らげます
  • 「同僚に迷惑をかける」——短時間でできる業務の切り出しを提案するなど、工夫を見せます
  • 「管理職だから言いにくい」——管理職も同じ権利を持ちます。まず人事に相談するルートを使います

  • ---


    よくある失敗パターン


    制度の存在を知らないまま辞表を出す


    「もう限界です」と上司に告げて退職した後、「実は介護休業が使えたと後から知った」という例は少なくありません。辞表を出す前に、必ず人事部門か社外の無料相談窓口(都道府県労働局、労働条件相談ホットラインなど)に問い合わせることを覚えておきましょう。


    93日をまとめて消化しようとする


    介護休業の93日は複数の局面で使えるよう分割が認められています。最初の危機的状況で全部使いきってしまうと、その後の様々な場面で使えなくなってしまいます。計画的に分割して取得するようにしましょう。


    時短勤務を「気が引ける」と辞退してしまう


    法律が定める権利である以上、「申し訳ないから」と使わないのはその権利を放棄するのと同義です。時短に切り替えても、評価への影響が気になる場合は、成果の見える化(完了した業務の記録、進捗報告の頻度を上げるなど)で補うなど、上司や会社と事前の対応について協議しておきましょう。


    介護とケアマネジャーの関係を職場に一切説明しない


    突然の欠勤や遅刻が繰り返されると、職場としては「何があったのか」が把握できずに困惑します。1から10まで全部話す必要はありませんが、「ケアマネジャーとの調整が月に数回必要」「急変時は早退することがある」など、最低限の情報共有は社会人として信頼関係を保つ上で重要です。


    ---


    家族が知っておきたいチェックリスト

  • 会社の就業規則に介護休業・短時間勤務の条項があるか確認してみましょう
  • 介護休業給付金の受給要件(雇用保険加入期間など)を把握しましたか
  • 対象家族の要介護認定状況と介護保険証の保管場所を確認している
  • 上司または人事部門への相談を済ませているか、スケジュールを立てている
  • 地域包括支援センター・都道府県労働局など、社外の相談窓口を少なくとも1つ把握しましょう

  • 介護は突然始まり、終わりが見えないまま続きます。だからこそ、一人で抱え込まず、職場と制度の両方を味方につける視点が必要です。「相談するのが遅すぎる」ということは決してありません——今日この記事を読んだことが、最初の一歩になればと思います。

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    本記事は神経内科・精神科医師 Koba MD, PhD による監修・査読を経て公開しています。 査読日: 2026年7月

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    公開日: 2026年7月11日最終更新日: 2026年7月12日

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