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ホーム記事介護保険サービスの自己負担と上限額
ケアガイド医師査読済 · 2026年7月公開 2026年7月14日

介護保険サービスの自己負担と上限額

1〜3割負担の仕組みと支給限度基準額の考え方。

認知症介護保険自己負担cluster:system-services

制度・サービスのガイドへ

「介護保険はどこから申請する?」「どんなサービスが使える?」を認知症を専門とする医師が整理してお伝えします。

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義母の細田梅子さん(81歳)が要介護2の認定を受けたのは、2年前の冬のこと。夫は単身赴任中で、小学生の子どもを抱えながらの介護は最初から綱渡りだった。梅子さんの体調が急に崩れ、予定より3泊、ショートステイを延ばさざるを得なくなったことがきっかけだった。延泊を頼もうと施設に連絡した際、ちょうどケアマネジャーの加藤さんにもその場で相談することになった。加藤さんは即座に「3泊延ばすと、今月の支給限度基準額をちょうど超えてしまいますね」と伝えたうえで、「超えた分は全額自己負担になりますが、このまま進めますか?それとも他に調整できる部分がないか、一緒に確認しましょうか」と選択肢を示してくれた。

梅子さんの状態を考えると延泊は避けられず、奈緒美は「仕方ないですね、今回はこのままお願いします」と即断した。加藤さんは「わかりました。今月の利用票には、この分も含めて反映しておきますね」と応じ、後日届いた利用票には確かに限度額を超えた数字が記載されていた。「請求書を見て突然驚くんじゃなくて、その場で加藤さんが教えてくれていたので、心の準備ができていました。が、それでもやはり大きいですね」と奈緒美は振り返る。

このやりとりをきっかけに、奈緒美は「限度額」を意識するようになった。それまでは「1割負担なんだから、サービスをたくさん使っても1割しかかからない」と漠然と考え、金額を計算したことはほとんどなかった。しかし実際には、要介護度ごとに1か月に使えるサービス費用の上限が決まっていて、その上限を超えた分は全額自己負担になる。要介護2の支給限度基準額は月19万7,050円(2024年度改定後)。この枠内に収まっているサービスについては所得に応じて1割・2割・3割のいずれかを負担すればいい。

この一件以来、加藤さんは毎月10日ごろに利用票が届くタイミングで、使用率が90%に近づきそうな月には事前に一声かけてくれるようになった。「突然1万円多い請求が来てパニック」ということがなくなったのは、加藤さんが常に先を見て動いてくれているからだと奈緒美は感じている。


梅子さんの状態が進み、半年後に要介護3へ区分変更された。限度額は27万480円に上がり、新たに福祉用具貸与(電動ベッド・手すり)を追加できるようになった。奈緒美が「限度額が上がった分、もう少しサービスを増やそうかな」と話すと、加藤さんは「それなら、高額介護サービス費の制度も一緒に確認しておきましょうか」と提案した。この制度を使えば、月々の自己負担額そのものをさらに抑えられる可能性があることを、加藤さんは奈緒美が困る前に教えてくれたのだ。

高額介護サービス費とは、1か月の自己負担が所得段階ごとの上限を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される仕組みだ。住民税非課税世帯は月2万4,600円(または1万5,000円)が上限となり、一般的な所得の世帯は4万4,400円が上限になる(2023年8月改定以降の基準)。奈緒美の世帯は住民税課税・所得は標準的なため、月4万4,400円が上限ラインだった。「加藤さんが教えてくれなかったら、高額介護サービス費の制度には自分では気付かなかったと思います」と奈緒美は話してくれた。


自己負担と限度額の基本を押さえるポイント


要介護度ごとの支給限度基準額を把握する

要支援1の5万320円から要介護5の36万2,170円まで、区分ごとに金額が定められています(2024年度)。区分変更があれば限度額も変わるため、認定更新や変更申請のたびにケアマネジャーと確認する習慣を持ちましょう。


利用票の「限度額使用率」を毎月チェックする

サービス利用票には当月の使用単位数と限度額に対する比率が記載されています。80%を超えたあたりで一度ケアマネジャーに相談し、優先度の低いサービスを翌月へずらすかどうか検討するとよいでしょう。奈緒美が実践したように、90%ラインを「要相談の目安」にするのは現実的な方法です。


限度額超過分は10割負担になることを覚えておく

枠内に収まっている費用は1〜3割負担ですが、枠を超えた分は全額が自己負担になります。突発的な体調変化でショートステイを急に延ばしたり、緊急で訪問介護を追加したりする場合は、超過リスクを事前にケアマネジャーに確認してください。


高額介護サービス費の申請を忘れない

1か月の自己負担合計が所得段階別の上限を超えた場合、超過分が返還されます。市区町村から通知が届く仕組みですが、初回だけ申請書の提出が必要なことが多いです。2回目以降は自動払い戻しになる自治体も多いので、担当窓口に確認しましょう。


世帯合算と医療保険との合算も確認する

同一世帯で複数人が介護保険を使っている場合、負担額を合算して高額介護サービス費を申請できます。また、介護保険と医療保険の自己負担を1年間合算する「高額医療・高額介護合算制度」もあります。持病の通院が多い場合は医療費も合わせて試算してみると、戻ってくる額が想定以上になるケースがあります。


負担割合証は手元に置いておく

被保険者証とは別に「介護保険負担割合証」が交付され、1割・2割・3割のどれが適用されるかが記載されています。有効期限は毎年8月1日更新なので、更新後に新しい割合証と古い割合証を混在させないよう注意しましょう。


よくある失敗パターン

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「1割負担だから安い」と思いサービスを追加しすぎる

限度額内であれば1割で済みますが、限度額を知らずにサービスを追加し続けると、ある月から突然全額請求が発生します。毎月の利用票を手元に保管し、月初に確認する習慣が予防になります。


高額介護サービス費の申請を知らずに放置する

この制度は市区町村から案内が届きますが、申請の時効は2年間なので、2年間に限っては過去に遡って申請できますが、うっかり流してしまうと費用は戻ってきません。ケアマネジャーに「我が家は対象になりますか」と一度確認するだけで解決できます。


区分変更後に限度額が変わったことに気付かない

状態が変わって要介護度が上がった場合、限度額も増えるので新たなサービスを追加できます。逆に、リハビリ効果で区分が下がった場合は限度額が減るため、同じサービス量を続けると超過になることがあります。認定結果が届いたらすぐに担当ケアマネジャーとサービス計画の見直しを行いましょう。


負担割合が変わっていることに気づかず請求に驚く

負担割合証は毎年8月に更新されます。前年の所得が増えていれば1割から2割へ逆に増えることがあります。更新月の請求額が例年より高いと感じたら、負担割合証の数字を確認しましょう。


福祉用具貸与が限度額に含まれることを忘れる

電動ベッドや車椅子などの福祉用具貸与もサービス費用としてカウントされます。「貸与だから関係ない」と思っている人がいますが、毎月一定の貸与料が支給限度基準額を少しずつ消費しています。サービス利用票には福祉用具の単位数も記載されているので確認しておきましょう。


今月から使える確認チェックリスト

  • 今月の要介護度と対応する支給限度基準額(円)をケアマネジャーに確認しました
  • 毎月の「サービス利用票」を受け取り、限度額使用率の欄を確認する習慣をつけました
  • 高額介護サービス費の申請状況(申請済み/未申請)を市区町村窓口に確認しました
  • 現在の介護保険負担割合証(1割/2割/3割)の有効期限と割合を確認しました
  • 限度額が90%を超えた月はケアマネジャーに連絡してスケジュールを見直す約束をしました
  • 家族に持病や入院がある場合、高額医療・高額介護合算制度の対象かどうかを確認しました

  • 奈緒美が「限度額というものを正しく知ったのは、苦い請求書が届いてからでした」と話してくれたのは、梅子さんの介護が3年目に入った春のことだ。今では毎月の利用票を食卓のファイルボックスに入れ、翌月分のサービス予定と並べて確認する習慣ができた。「数字を見ても怖くなくなりました。仕組みが分かれば、自分でコントロールできる気がするので」。自己負担の仕組みを理解することは、家計の安心だけでなく、介護の主導権を少し取り戻すことにもつながっています。

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    本記事は神経内科・精神科医師 Koba MD, PhD による監修・査読を経て公開しています。 査読日: 2026年7月

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    公開日: 2026年7月14日

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