通院できなくても相談できます

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通院困難・在宅医療遠距離介護一人暮らし約10分

「医師に相談したいが、通院させる余裕がない」——通院できなくても医療につながる4つの手段

認知症の親が一人でバスや電車に乗れなくなり、遠方に住む子供が毎月付き添えない—— 「通院できない=手詰まり」ではありません。訪問診療・代理受診・オンライン相談・地域包括の 活用で、在宅のまま医療・相談につながる手段があります。

ご本人の年齢

75 歳

女性・一人暮らし

相談者

息子(48歳)

東京在住・遠距離介護

通院状況

一人での通院が困難

バス・電車で迷う

最大の課題

医療継続の手段がない

「施設しかない」と思い込み

結論

一人での通院が困難になっても、医療が受けられなくなるわけではありません。訪問診療への切り替え、家族による代理受診、地域包括支援センターへの相談、オンライン相談(認知症コネクトなど)を組み合わせることで、在宅のまま医療や相談につながることができます。まずは地域包括支援センターに電話することが最初の一歩です。

「介護保険はどこから申請する?」「どんなサービスが使える?」を認知症を専門とする医師が整理してお伝えします。

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医師の回答

「通院できない=医療が受けられない」は過去の話です

Dr. Koba

認知症専門外来・在宅診療

「通院できなくなった」という相談を多く受けます。特に一人暮らしで遠方に家族がいる場合、 「もう専門的な医療は受けられない」と諦めてしまうケースが少なくありません。 しかし、在宅医療の仕組みは近年大きく充実しており、「通院できなくなった」段階が訪問診療への切り替えタイミングです。

大切なのは「病院に行けないから無理」で止まらず、「では医師の側に来てもらう手段を探す」に切り替えることです。 訪問診療・地域包括支援センター・オンライン相談——これらは「あるとは知っていたが、自分が使えるとは思わなかった」という方が多い手段です。

一人で抱え込まないでください。「どこから始めればいいか分からない」という状態こそ、 相談を活用すべきタイミングです。

「訪問診療」と「往診」は別物です

往診は「急に具合が悪くなったとき一時的に来てもらうもの」、訪問診療は「月1〜2回の計画された定期診察」です。 認知症の継続的な医療管理には、訪問診療(計画的な定期診察)が適しています。 「往診をお願いしたい」ではなく「訪問診療に切り替えたい」と伝えることが重要です。

通院困難を解決する手段

「通院できない」を解決する6つの手段

「訪問診療への切り替え」が最優先です。クリックして詳細を確認してください。

「病院に行けない=診察が受けられない」ではありません。訪問診療は、医師が月1〜2回患者の自宅を訪問して診察する制度です。認知症の診断・処方・経過管理をすべて在宅で行うことができ、介護保険の適用もあります。

訪問診療は「往診」とは異なります。「往診」は急変時に一時的に来てもらうもの、「訪問診療」は定期的に計画されたスケジュールで来てもらうものです。認知症の方が通院できなくなった段階で切り替える方が多く、近年は都市部を中心に在宅医療を専門とするクリニックが増えています。 訪問診療を行う医師は、定期的に自宅で診察しながら症状の変化を継続的に観察します。処方箋の発行も在宅で行えるため、薬局への持ち込みは家族かヘルパーが担います。訪問薬剤師と連携している場合は、薬の配達・服薬指導も在宅で完結します。 手続きは、現在のかかりつけ医に「訪問診療に切り替えたい」と相談するか、地域包括支援センターに「訪問診療を行うクリニックを紹介してほしい」と依頼することから始まります。

なぜこの手段が有効か

認知症の方にとって「慣れない外出」は非常な負担です。移動中の混乱・転倒リスク・疲労による症状増悪——これらは通院をやめることで解消されます。医師が毎月同じ場所(自宅)に来ることで、本人も落ち着いて診察を受けられます。

具体的な手順

  • かかりつけ医に「通院が難しくなってきた、訪問診療に切り替えたい」と相談する
  • 地域包括支援センターに連絡し、近隣の訪問診療クリニックを紹介してもらう
  • 訪問診療の申し込み時に「認知症あり・通院困難」であることを伝える
  • 訪問日を決め、家族のスケジュールに合わせて同席できる日に設定する
  • 訪問看護・訪問薬剤師との連携を希望する場合は最初から相談しておく

注意点

  • 訪問診療は対応エリアが限られる場合がある。まず地域包括支援センターで近隣クリニックを確認
  • 費用は外来よりやや高くなるが、介護保険・医療保険の両方が適用される
  • 急変時(骨折・高熱など)は訪問診療医とは別に救急対応が必要になる場合がある
実際の取り組み例

佐藤正夫さんの4ヶ月

相談前の状況

「通院できない=手詰まり」という絶望感

佐藤幸枝さん(仮名・75歳)は認知症診断後も半年ほどは長女に付き添ってもらい通院していましたが、佐藤正夫さん(仮名・48歳・東京在住)は遠方で毎月帰省できません。同居していた長女が転勤で引っ越し、幸枝さんは一人暮らしに。「通院できなくなったら施設しかない」という思い込みで行き詰まっていました。

  • バス・電車での移動が一人では困難になった(迷う・乗り越す)
  • 長女の転勤で付き添いが月1回もできない状況に
  • 正夫さんも仕事と育児で帰省は年3〜4回が限界
  • かかりつけ医への受診が3ヶ月に1回になり、薬が「なんとなく続く」状態に
1〜2週

認知症コネクトへの相談と選択肢の整理

「どうすれば母の医療を続けられるか分からない」という問いで認知症コネクトに相談した正夫さん。「訪問診療への切り替え」「地域包括支援センターへの相談」「代理受診の活用」という3つの手段を整理して回答を受け、「選択肢がある」と初めて実感しました。

  • 認知症コネクトで「通院できない場合の医療継続手段」を相談
  • 訪問診療・地域包括・代理受診の違いを医師に説明してもらった
  • まず地域包括支援センターに電話することを決めた
  • 幸枝さんの住む市の地域包括支援センターに相談の電話を入れた
1〜2ヶ月

訪問診療の開始と介護保険申請

地域包括支援センターの担当者が幸枝さん宅を訪問し、状況をアセスメント。認知症対応の訪問診療クリニックを紹介してもらい、月2回の訪問診療が始まりました。同時に要介護認定の申請を行い、ヘルパー週3回の利用も開始しました。

  • 地域包括支援センターからケアマネジャーが担当に就いた
  • 訪問診療クリニックとの契約・初回訪問が完了(医師が自宅に来るようになった)
  • 介護保険の要介護認定申請(正夫さんが帰省した際に同席)
  • 週3回のヘルパー派遣が始まり、服薬確認・食事サポートが在宅で完結するようになった
3ヶ月後〜現在

遠方から状態をモニタリングできる体制に

ヘルパー・訪問診療医・ケアマネジャーの3者が連絡を取り合う体制が整い、正夫さんは「何かあればケアマネから連絡が来る」という安心感を得ました。月1回はオンライン(LINEビデオ通話)で母の顔を確認し、認知症コネクトを「細かな疑問を解消する場」として継続利用しています。

  • ケアマネジャーが月1回の連絡レポートを正夫さんに送るようになった
  • ヘルパーが気になる変化をケアマネに報告→正夫さんに共有の連絡ルートが整備された
  • 緊急時の連絡先リストを幸枝さんの自宅の冷蔵庫に貼り付けた
  • 正夫さんは「施設しかない」という思い込みから「在宅継続できている」に変わった
この家族の変化

「通院できない=手詰まり」から「在宅チームで継続できている」へ

相談前

「通院できなくなったら終わり」という閉塞感

佐藤正夫さん(仮名・48歳)は「認知症の母が一人でバスや電車に乗れなくなった時点で、もう専門的な医療は受けられない」と思い込んでいました。「施設に入れるしかないのか、でも本人は嫌がる」「このまま薬だけ続けて様子を見るしかないのか」という行き詰まり感が続いていました。月に1度の電話で「なんとなく元気そう」を確認するだけの状態でした。

相談後・1ヶ月

「選択肢がある」と分かり、地域包括への電話を決めた

認知症コネクトで相談した回答に「訪問診療という選択肢がある」と書かれていて、初めてその存在を知りました。「知らなかっただけで、実は動ける手段があった」という発見が、「自分が動かなければ」という気持ちへと変わりました。地域包括支援センターに電話したその日に、担当の社会福祉士から「来週お宅にうかがいます」という返答があり、「こんなに早く動いてもらえるとは」と驚いたそうです。

2〜3ヶ月後

訪問診療とヘルパーが始まり、「見えない不安」が「見える管理」に変わった

月2回の訪問診療が始まると、医師から毎回「今月の状態メモ」が送られてくるようになりました。ヘルパーが週3回来ることで「昨日の食事が取れていなかった」「服薬を嫌がった」といった情報がケアマネを通じて正夫さんに届くようになりました。「何かあっても分からない」という遠距離介護の最大の不安が、「ちゃんと情報が来る」に変わった瞬間でした。

現在(相談から4ヶ月後)

在宅チームが整い、遠方でも「つながっている」実感が持てるようになった

現在は「訪問診療医・ヘルパー・ケアマネジャー」の3者が連絡を取り合う在宅チームが機能しています。正夫さんは月1回のLINEビデオ通話で母の顔を確認し、「気になること」があれば認知症コネクトで医師に確認します。「施設に入れるしかない」と思っていたあの閉塞感とは別世界です。次の課題は「もう少し認知症が進んだときの選択肢を今から整理しておくこと」と、前向きに考えられるようになっています。

医師による評価

この家族の変化の何が重要だったか

Dr. Koba より

認知症専門外来・在宅診療

この事例で最も重要だったのは、「通院できない=医療が受けられない」という思い込みを手放せたことです。 多くのご家族が「自分から動いてしまうと失礼かも」「行政には大ごとにならないと頼めない」と感じて動き出せないでいます。

地域包括支援センターは「大ごと」でなくても相談できます。むしろ、「まだ大丈夫」と思っている段階から相談しておく方が、選択肢が広いのです。 いざ急変してから動こうとすると、サービスの手配に時間がかかり、その間の空白期間が家族にとっても本人にとっても辛い時間になります。

うまくいった点

  • 「選択肢が分からない」を相談して整理してもらったこと
  • 地域包括支援センターへの第一歩を「今すぐ電話する」と決めたこと
  • 訪問診療・ヘルパー・ケアマネの3者連携体制を早期に構築したこと
  • 緊急時連絡先リストを事前に整備したこと

難しかった点

  • 本人が「知らない人を家に入れるのは嫌」と最初は抵抗を示した
  • 介護保険の認定まで2ヶ月かかり、その間の費用負担が発生した
  • 「何かあったときに自分がすぐ行けない」という遠距離介護の根本的な不安は残る
状況が違えば答えも変わる

もし状況が違っていたら

「通院できない」は終わりではなく「在宅医療への切り替えタイミング」です

認知症の進行とともに「一人での通院が困難になる」段階は多くの方に訪れます。 そのタイミングこそ、訪問診療・地域包括・オンライン相談という在宅医療の選択肢に切り替える好機です。 「まず地域包括支援センターに電話する」が、最初の一歩です。

通院できなくても、今日から医師に相談できます

「どこから始めればいいか分からない」その問いを医師に送ってください

訪問診療の探し方・地域包括への相談の仕方・緊急時の判断基準—— 「今どう動けばいいか」を48時間以内に医師が答えます。

「『施設に入れるしかない』と半年悩んでいたのに、相談したら 一週間で訪問診療の先生が来てくれるようになりました。 もっと早く相談すればよかった。」

— 48歳男性・母(75歳)の遠距離介護

注記

※1 本事例は個人が特定されないよう、年齢・家族構成・生活状況などの詳細を変更・省略した上で掲載しています。佐藤幸枝さん・佐藤正夫さんはいずれも仮名です。

※2 この相談に先立ち、ご相談者および可能な範囲でご本人の生育歴、現在の生活環境、価値観、身体状況(既往歴・服薬状況)、家族の状況(主介護者の就労状況・家族全体の協力体制)などを詳しく聴取しています。こうした背景情報は「その方にとって何が最善か」を考えるうえで不可欠です。

※3 本記事は医療アドバイスではなく、一般的な情報提供を目的としています。個別の医療・介護判断については、必ず担当医・専門医・地域包括支援センターにご相談ください。