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趣味や楽しみの時間を持つ

介護以外の時間で心のバランスを保つ

Yuya Kobayashi, MD, PhD

医療監修

Yuya Kobayashi, MD, PhD

認知症専門外来・在宅診療医

介護に集中するあまり、自分の趣味や楽しみの時間を手放してしまうことがあります。しかし、介護以外の時間を持つことは、心のバランスを保ち、穏やかな気持ちで介護を続けるために欠かせないものです。

体験談

母(79歳、アルツハイマー型認知症)の介護を始めてから、以前は熱心に続けていたガーデニングから、すっかり足が遠のいていました。「趣味を楽しむ時間があるなら、母のためにもっと時間を使うべきだ」と、自分の楽しみに時間を使うことに罪悪感を感じていたからです。

数か月が過ぎた頃、鏡に映った自分の表情が、以前よりずっと険しくなっていることに気づき、愕然としました。友人に相談すると、「趣味の時間って、自分を保つために必要なものだよ。無理して我慢する必要はないんじゃない」と言われ、はっとしました。

思い切って、週に一度、母がデイサービスを利用している間の1時間だけ、庭に出て植物の手入れをする時間を作ることにしました。土に触れ、花の成長を眺める時間は、思っていた以上に心を落ち着かせてくれました。

趣味の時間を持つようになってから、母と接する際の自分の表情や声のトーンも、以前より穏やかになったと感じます。介護以外の時間を持つことは、自分を犠牲にすることではなく、介護を続けるためのエネルギーを充電する時間なのだと気づきました。

— 79歳の母(アルツハイマー型認知症)を介護する51歳娘

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なぜ趣味の時間が必要なのか

介護に多くの時間とエネルギーを注いでいると、「自分の楽しみのために時間を使うのは、わがままではないか」という罪悪感を抱きやすくなります。しかし、介護のことだけを考え続ける生活は、心身の余裕を失わせ、次第に表情や声のトーンにも余裕のなさが表れるようになります。

趣味や楽しみの時間は、単なる息抜きではなく、心のバランスを保ち、介護に向き合うためのエネルギーを充電する、重要な役割を果たします。介護者自身が穏やかな気持ちでいられることは、結果的に本人との関わりの質にも良い影響を与えます。趣味の時間を持つ具体的な工夫は、下の実践のステップを参考にしてください。

💬 「趣味の時間に罪悪感がありました」

介護経験者からのアドバイス

「趣味の時間を持つことに、どこか後ろめたさを感じていました。でも、鏡に映った自分の険しい表情を見て、このままではいけないと気づきました。

短い時間でも、庭に出て土に触れる時間を持つようになってから、母への接し方も穏やかになったと感じます。趣味の時間は、贅沢ではなく必要なものなんだと実感しています。」

趣味を続けるための工夫

  • 完璧にこなそうとせず、できる範囲で楽しむことを優先する
  • 一人での時間だけでなく、友人と一緒に楽しめる趣味も選択肢に入れる
  • オンラインで参加できる趣味の講座やコミュニティも活用する

実践のステップ

  1. 15分や30分など短時間からでも趣味に触れる時間を作る

  2. デイサービスやショートステイの利用時間を自分の楽しみに充てる

  3. 『自分を保つために必要な時間』と自分に言い聞かせ罪悪感を和らげる

  4. 趣味の時間の大切さを家族に共有し協力を得る

  5. 以前の趣味が難しければ今の生活でできる新しい楽しみを探す

注意点

趣味や楽しみを持つこと自体に強い罪悪感や抵抗が消えない場合、以前好きだったことに全く関心が持てなくなっている場合、気分の落ち込みが続き何にも楽しみを感じられない場合は、うつ状態の可能性も考えられるため、かかりつけ医や心理カウンセラーへの相談を検討してください。

こんな場合は当てはまらないことも

介護を始めたばかりで、まだデイサービスやショートステイの利用調整が整っていない段階では、そもそも自分のための時間を捻出すること自体が難しい場合があります。趣味の時間を作ることばかりに気を取られるより、まずは介護保険サービスの利用体制を整えることを優先してください。時間は、仕組みができてから生まれるものです。

応用・バリエーション

外出しての趣味が難しい場合は、読書、音楽鑑賞、簡単な手芸など、自宅の隙間時間でも楽しめる趣味を見つけることも一つの方法です。

まとめ

関連するヒント

根拠について:介護者が趣味や楽しみの時間を持つことが心理的な健康維持に資するという考え方は介護支援・心理学の分野で広く支持されている。

最終更新日:

参考文献

  1. [1]山口晴保(編). 認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント 第4版. 協同医書出版社 (2023)

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