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ホーム記事多剤併用(ポリファーマシー)の見直し方
ケアガイド医師査読済 · 2026年7月公開 2026年7月7日

多剤併用(ポリファーマシー)の見直し方

薬が多すぎる不安を主治医・薬剤師に相談する進め方。

認知症ポリファーマシー多剤併用cluster:medication-medical

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「薬を飲んでくれない」「どう管理すればいい?」という医療的な疑問を認知症を専門とする医師に相談できます。初回500円。

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伊藤美代子は、母の薬袋を広げるたびに、小さなため息をついた。


「また増えてる」


テーブルに並べると、白い錠剤、黄色いカプセル、水色の錠剤……合計で十二種類。認知症の進行とともに、不眠の訴えがあれば睡眠薬、気分の落ち込みがあれば抗不安薬と、受診のたびに一つずつ増えていった。母は82歳で、アルツハイマー型認知症と高血圧、骨粗しょう症の診断を受けていた。それぞれに専門の医師がいて、それぞれが処方を出している。


ある日、母が急に「足がふらつく」と言い出した。転倒して骨折するのは何とか避けなければと、美代子は近所の調剤薬局に相談の電話を入れた。「お薬手帳を全部持ってきてください」と言われ、三冊分の手帳を抱えて訪れると、担当の薬剤師が時間をかけて丁寧に話を聞いてくれた。


「これとこれ、実は同じ成分が入っているんです。つまり重複しています」と指摘されたときの驚きは今でも覚えている。何とさらに母が以前から飲んでいた花粉症の市販薬にも「認知機能に影響しやすい成分がありますね」と指摘があった。


薬剤師が整理したリストを持って主治医に「薬の種類を減らせないか相談したい」と伝えると、医師も「一度整理しましょう」と前向きに応じてくれた。三ヶ月後、母の薬は八種類に減り、ふらつきはほぼなくなった。「薬剤師さんに相談してよかった」と美代子は思う。またどこか「処方に対して患者は口を出してはいけない」と思い込んでいた節があり、「要望を出して良いんだ」とわかったことが、一番の収穫だったかもしれない。


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多剤併用とは何か、どこから問題になるか


多剤併用(ポリファーマシー)とは、必要以上に多くの薬を同時に服用している状態を指します。日本では一般に「6種類以上」を目安に問題が起きやすいとされますが、単純な数だけでなく、薬の組み合わせや個人の体質・年齢によってリスクは変わります。


高齢者に多剤併用が起きやすい理由は、複数の疾患を同時に抱えていること、複数の医療機関を受診していること、そして「薬を減らすと病気が悪化するのでは」「医師の処方に意見するのは控えるべきでは」という不安から処方変更を申し出にくいことも挙げられます。


高齢になると薬の代謝・排泄機能が低下し、若年者と同じ量でも副作用が出やすくなります。また、ある薬の副作用を別の薬で抑えるという「ドミノ倒し」が起きると、薬の種類はどんどん増えていきます。


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認知症の人で特に気をつけるべき薬の組み合わせ


認知症のある人では、以下のような薬が認知機能や転倒リスクに影響することが知られています。


抗コリン薬

花粉症・アレルギーの抗ヒスタミン薬、過活動膀胱の治療薬、一部の胃腸薬などに含まれます。脳内の神経伝達物質アセチルコリンを抑制するため、記憶力の低下や混乱(せん妄)を引き起こすことがあります。認知症の薬(コリンエステラーゼ阻害薬)と正反対の作用を持つため、効果を打ち消し合う組み合わせにもなります。


睡眠薬・抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)

転倒・骨折リスクを高めることが国内外のデータで示されています。認知機能への影響も指摘されており、長期使用は特に注意が必要です。


複数の降圧薬・利尿薬

過度な血圧低下による立ちくらみ・転倒のリスクがあります。


市販薬・サプリメント

処方薬との相互作用が見落とされがちです。「市販薬は申告する必要がない」と思い込み、医師・薬剤師に伝えていないケースも多くあります。


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「薬が多すぎるかも」と感じたときの相談の進め方

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ステップ1:お薬手帳を一冊にまとめる


複数の医療機関・薬局を利用している場合、薬の情報が分散しています。まずすべての薬局で発行されたお薬手帳と、市販薬・サプリメントのリストを一か所に集めましょう。


ステップ2:かかりつけ薬剤師に「薬の棚卸し」を依頼する


薬局の薬剤師は処方箋がなくても相談に応じられます。「薬が多くて心配なので、重複や飲み合わせを確認してほしい」と率直に伝えてください。「ポリファーマシー外来」を設けている薬局や病院も増えています。


ステップ3:変更後も観察を続ける


薬を減らした後は、内服量が減ったこと自体に安心せず、体調の変化を記録して次回の診察で担当医に報告しましょう。


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よくある失敗パターン


1. 自己判断で薬をやめてしまう


「副作用が心配だから」「飲み忘れが続いたから」と本人または家族が勝手に中止するケースです。降圧薬・抗認知症薬などは急に止めると症状が悪化したり、離脱症状が出たりすることがあります。必ず医師・薬剤師に相談してから減薬・中止を行いましょう。


2. 複数の医療機関の薬が重複していることに気づいていない


内科・整形外科・神経内科などを別々に受診し、それぞれが同効果の薬を処方していることがあります。お薬手帳を一元管理していないと、この重複はなかなか発見できません。


3. 市販薬・サプリメントを「処方薬ではないから」と申告しない


ドラッグストアで購入した睡眠補助薬や鎮痛剤、健康食品は処方薬と相互作用を起こすことがあります。受診時は必ずすべてを医師・薬剤師に伝えてください。


4. 「先生に悪い」と遠慮して相談できない


処方した医師への遠慮から、副作用への疑問や薬の多さへの不安を口に出せない家族は少なくありません。しかし「薬を整理したい」という希望を伝えることは、治療の妨げではなく安全管理の一部です。薬剤師を通じて間接的に相談する方法も有効です。


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家族が知っておきたいチェックリスト

  • 本人が服用しているすべての薬(処方薬・市販薬・サプリメント)をリストアップしています
  • お薬手帳を複数冊持っている場合、かかりつけ薬局で一元管理できているか確認しました
  • 「ふらつき・転倒が増えた」「急に眠くなる」「混乱が強くなった」といった変化を薬と関連づけて観察しています
  • 薬を自己判断で減らしたり止めたりせず、変更前に必ず医師か薬剤師に相談しています
  • 複数の医療機関を受診している場合、それぞれの医師が他院の処方薬を把握しているか確認しました

  • 薬の見直しは「治療を中断する」ことではなく、本人の体に合った医療を最適化する積極的な行為です。「薬が多すぎるかもしれない」という家族の直感は、多くの場合、正しいサインです。かかりつけ薬剤師に相談するところから始めてみてください。

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    本記事は神経内科・精神科医師 yuyu MD PhDによる監修・査読を経て公開しています。 査読日: 2026年7月

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    公開日: 2026年7月7日

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