MCI(軽度認知障害)と診断されたものの薬は処方されなかった。「では何をすればいい?」という問いに、 医師が6つの答えを示します。薬物療法に匹敵するエビデンスを持つ介入が、 今この瞬間から始められます。
ご本人の年齢
69 歳
男性・妻と同居
診断
MCI(軽度認知障害)
MMSE 27点
薬の処方
なし
経過観察の段階
家族の希望
できることをしたい
何かしなければという焦り
結論
MCI(軽度認知障害)で薬が処方されなかったのは、今は薬物療法の適応がないためであり、「何もできない」という意味ではありません。観察日記による記録、有酸素運動、認知刺激活動、生活習慣の見直し、6ヶ月ごとの定期受診を組み合わせることで、この段階でもできることは数多くあります。
「薬を飲んでくれない」「どう管理すればいい?」という医療的な疑問を認知症を専門とする医師に相談できます。初回¥500〜。
Dr. Koba
認知症専門外来・在宅診療
「薬が処方されなかった=何もできない」ではありません。むしろ逆です。MCIや軽度の段階こそ、非薬物療法が最も高い効果を発揮できる時期です。
認知症に進む可能性があるMCIの方の中で、適切な介入を受けた方の約30〜40%が 正常範囲に戻ったという研究も報告されています。薬物療法は「進行を遅らせる」ものですが、 運動などの非薬物療法は「海馬の体積を増やす」という積極的な効果も期待できます。
「何をすればいいか」に迷っている時間が、実は最も惜しい時間です。 今日からできる最も小さな一歩は、観察日記のノートを買うことと、明日の朝に15分歩くことです。
薬物療法と非薬物療法は「対立」ではなく「補完」
将来的に薬が処方された場合も、非薬物療法(運動・認知刺激・社会参加)を並行して続けることで相乗効果が得られます。 「薬を飲み始めたら他のことをしなくていい」ではなく、両者を組み合わせることが最善です。
「観察日記」と「有酸素運動」が最初の2本柱です。クリックして詳細を確認してください。
MCI(軽度認知障害)の段階では、変化のペースを把握することが最も重要です。専用のノートに「今日気になったこと」を書き続けるだけで、受診時の情報提供が格段に充実し、医師の判断精度が上がります。
認知症の経過は「今日の写真を見ても分からないが、6ヶ月前の写真と比べれば明らか」という性質があります。日々の変化は小さすぎて家族でも気づきにくいため、記録が唯一の手がかりになります。 書く内容は難しく考えなくていいです。「今日、買い物の帰り道で迷子になりそうになった」「同じことを3回聞いた(朝・昼・夕)」「ガスを消したか2回確認していた」など、気になったことをそのまま日付と一緒に書いておくだけで十分です。 これを受診時に持参すると、医師は「この6ヶ月でどう変化しているか」を時系列で把握でき、薬を出すかどうかの判断材料になります。
なぜ効果があるのか
MCIから認知症への移行速度は一人ひとり大きく異なります。記録がなければ「なんとなく悪くなった気がする」という印象論しか伝えられず、医師も正確な判断ができません。
注意点
「薬なし・何もできない」という状態から「薬なし・できることを続ける」状態に変わった経緯です。
夫が「MCI(軽度認知障害)」と診断されましたが、薬は処方されませんでした。「では何をすればいいのか」という疑問を、認知症コネクトで医師に相談。「観察日記と運動から始めましょう」という具体的な答えをもらいました。
最もエビデンスの強い有酸素運動から開始。妻(幸子さん・仮名)が一緒に毎朝ウォーキングをすることで、本人の「行きたくない」という抵抗感を自然に解消できました。
運動が定着してきた3ヶ月後から、認知刺激活動を少しずつ追加。昔好きだった将棋を再開。デイサービスで将棋仲間もでき、「行くことが楽しみ」という言葉が出るようになりました。
6ヶ月後の受診でMMSEスコアが維持されていたことを確認。医師から「今の取り組みを続けてください」と言われ、「自分たちのやっていることが正しかった」という自信が生まれました。次の6ヶ月も同じペースで継続中です。
診断直後
中島茂雄さん(仮名・69歳)がMCIと診断された際、薬は処方されませんでした。「薬が出ないということは、何もできないということ?」という不安が妻の幸子さん(仮名・65歳)を覆いました。「このまま何もせず悪くなるのを待つしかないのか」という感覚は、診断後の2週間が最も辛かったと言います。
最初の相談後
認知症コネクトで医師に相談したところ、「MCI段階では非薬物療法が最も効果的な時期。特に有酸素運動は薬物療法に匹敵するエビデンスがある」という回答を得ました。「何もできない」ではなく「むしろ今が一番できることが多い時期」という視点の転換が、大きな転機でした。
3ヶ月後
ウォーキングを続けた3ヶ月後、茂雄さんが「最近体が軽い」と言うようになりました。デイサービスで将棋仲間ができたことで、「行くことが楽しみ」という言葉も出始めました。「認知症かもしれない」と落ち込んでいた状態から、日常を楽しんでいる状態への変化に、家族全員が驚きました。
6ヶ月後・現在
6ヶ月後の受診でMMSEスコアが維持されていることを確認。「薬をもらえなかった」という最初の落胆が、今では「あのとき薬に頼らず動き出せて良かった」という感覚に変わっています。観察日記には6ヶ月分の記録が積み重なり、「何もしていなかった頃より今の方が充実している」と幸子さんは語ります。
Dr. Koba より
認知症専門外来・在宅診療
この事例で最も評価できるのは、「薬が出なかった」という事実を「何もできない」と解釈せず、積極的な行動に変えたことです。
多くの家族が「薬が出なかった=経過観察しかない」と思い込み、次の受診まで何もしないまま過ごします。 しかし、この時期こそ非薬物療法の効果が最大になる「黄金期」です。
うまくいった点
難しかった点
「薬がない不安」に答えられるのは、一人ひとりの状況を見た医師です
MCIの段階・体の状態・生活環境・家族のサポート力によって、最適な取り組みは異なります。 「自分たちの場合はどうすれば良いか」を医師に直接確認することを強くおすすめします。