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ホームBPSD認知症の易怒性——怒りっぽくなる理由と、暴言・暴力に発展させない対応
BPSD症状医師査読済 · 2026年7月公開 2026年7月10日

認知症の易怒性——怒りっぽくなる理由と、暴言・暴力に発展させない対応

性格が変わったわけではなく、脳の変化による感情コントロールの低下が背景にある易怒性。前頭側頭型認知症で特に目立つ理由と、悪化させない声かけ・環境調整の工夫を解説します。

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こんな状態が続いたら

  • ちょっとしたことでイライラし、機嫌の浮き沈みが激しくなった
  • 暴言や暴力を伴わないが、継続的に不機嫌・怒りっぽい状態が続いている
  • 些細な指摘や声かけにも過敏に反応するようになった
  • このような感情の不安定さが数週間以上続く場合、性格が変わったのではなくBPSD(周辺症状)としての易怒性を考えます。暴言・暴力とは異なり、身体的な攻撃を伴わない継続的な感情の不安定さである点が特徴です。


    なぜ怒りっぽくなるのか


    易怒性は「性格が悪くなった」わけではなく、脳の感情コントロールに関わる領域の変化が背景にあります[1]。


    前頭葉・前頭側頭葉の機能低下 → 感情の抑制を担う領域の働きが弱まり、些細な刺激にも強い反応が出やすくなります。前頭側頭型認知症では特にこの傾向が目立ちます。


    ストレス耐性の低下 → もともとなら気にならなかった刺激にも過敏に反応しやすくなり、イライラとして表れます。


    不安・混乱の裏返し → 状況を理解できないことへの苛立ちが、怒りという形で表出することがあります。


    身体的な不快感 → 痛み・疲労・空腹などを言葉で伝えられず、易怒性として現れる場合もあります。


    疾患易怒性の頻度特徴
    前頭側頭型約50〜60%初期から見られやすく、感情の抑制困難が中心
    アルツハイマー型約20〜30%進行に伴い出現することが多い
    血管性認知症約30〜40%感情の起伏が急激で予測しにくいことがある

    ※頻度は報告により幅があり、上記はおおよその目安です[1]


    今日からできる7つの工夫


    声のトーンを落ち着かせ、ゆっくり話す → 高く緊張した声かけは苛立ちを助長しやすいため、穏やかなトーンを意識します。


    刺激を減らす → 騒音や人混み、急な予定変更など、苛立ちの引き金になりやすい刺激をできるだけ減らします。


    生活リズムを一定に保つ → 見通しの立つ環境を作ることで、次に何をすべきか予測ができない不安からくる苛立ちを軽減できます。


    イライラの兆候を早めに察知する → 表情や声のトーンの変化に気づいたら、早めに場面を変えることで悪化を防ぎます。


    一度に多くを要求しない → 選択肢や指示をシンプルに絞ることで、混乱による苛立ちを減らします。


    身体的な要因を先に確認する → 疲労・空腹・痛みなど、言葉にできない不快感がないか確認します。


    落ち着いているときの時間を大切にする → 好きな活動や会話の時間を増やし、良い状態を維持しやすくします。


    やってはいけないNG対応

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    NG対応

    「また怒って」と決めつけた態度で接する → 本人の不安・苛立ちをさらに強めることがあります。

    感情的に言い返す → 家族側の苛立ちが伝わり、悪循環になりやすくなります。

    予定や環境を頻繁に変える → 見通しが立たないことへの苛立ちを強めます。

    一人で抱え込み相談しない → 易怒性は介護者の疲弊を招きやすいため、早めに専門家へ相談してください。


    森田信夫さん(74歳、前頭側頭型認知症)の場合


    以前は温厚だった信夫さんが、些細な物音や予定変更にイライラをぶつけるようになりました。妻の森田良子さんは、生活リズムを一定にし、予定変更をできるだけ避けるようにしたところ、イライラの頻度多少は減ったといいます。


    斎藤幸子さん(79歳、アルツハイマー型認知症)の場合


    デイサービスの送迎時間が変わると強い苛立ちを見せるようになりました。ケアマネジャーと相談し、できるだけ同じ時間帯・同じスタッフでの対応に固定してもらったところ、落ち着いて過ごせる時間が増えました。


    よくある家族の疑問


    Q. 易怒性と暴言・暴力はどう違いますか?

    易怒性は身体的な攻撃を伴わない継続的な感情の不安定さを指し、暴言・暴力は実際の攻撃的行動を伴う点で区別されます。ただし背景にある前頭葉機能の低下は共通していることが多くあります。


    Q. 前頭側頭型認知症だと必ず易怒性が出ますか?

    頻度は高いものの、必ず出るわけではありません。個人差が大きく、症状の出方も人によって異なります。


    Q. 薬で抑えることはできますか?

    症状が強く生活に支障がある場合は薬物療法が検討されることもありますが、まずは環境調整や声かけの工夫を優先するのが基本方針です。


    Q. 本人は怒っている自覚がありますか?

    自覚が乏しいことも多く、後から指摘されても本人が納得しにくい場合があります。ただしその場で叱責するより、落ち着いてから穏やかに振り返る方が望ましいとされています。


    Q. 易怒性は治療で改善しますか?

    環境調整や対応の工夫で軽減するケースは多くありますが、完全になくすことは難しい場合も残念ながらあります。医師と相談しながら現実的な目標を立てることが大切です。


    Q. 家族が疲弊してしまったらどうすればいいですか?

    一人で抱え込まず、ケアマネジャーや医師、地域包括支援センターに相談してください。デイサービスなどのサービス利用で距離を取ることも有効です。


    Q. 施設のスタッフにどう伝えればいいですか?

    苛立ちが出やすい状況(時間帯・場面・きっかけ)を具体的に共有すると、施設でも同じような対応をしてもらいやすくなります。


    Q. 易怒性が急に強くなった場合は受診すべきですか?

    数日〜数週間で急激に悪化した場合は、せん妄や体調不良など別の要因が関わっている可能性があるため、早めに受診することをおすすめします。


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    快適な睡眠環境で安眠をサポート

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    入浴、音楽、読書で心を落ち着かせる

    医師査読済コンテンツ

    本記事は神経内科・精神科医師 コバ医師(医学博士)による監修・査読を経て公開しています。 査読日: 2026年7月

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    公開日: 2026年7月10日

    参考文献

    1. [1]日本神経学会. 認知症疾患診療ガイドライン2017 (2017)
    2. [2]日本老年精神医学会. BPSDの薬物治療ガイドライン (2016)
    3. [3]NICE. Dementia: assessment, management and support (NG97) (2018)

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