ケアガイド医師査読済 · 2026年6月公開 2026年7月1日更新 2026年9月2日

BPSDとは──周辺症状が起きる理由・主な種類・医師への相談タイミング

妄想・幻視・うつ・徘徊・暴言・睡眠障害などの「BPSD(行動・心理症状)」がなぜ起きるのかを解説。中核症状との違い・BPSDを増悪させる要因・薬物療法の考え方・医師に相談すべきタイミングまで。

Yuya Kobayashi, MD, PhD

医療監修

Yuya Kobayashi, MD, PhD

認知症専門外来・在宅診療医


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「もの盗られ妄想で毎日怒鳴られる」「夜中に叫び声を上げる」「誰もいないのに人が見えると言う」──こうした症状はBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:行動・心理症状)と呼ばれます。中核症状とは異なり、BPSDは原因と環境を変えることで改善できる可能性があります[1]。


BPSDと中核症状の違い


中核症状とBPSDの比較

中核症状:脳の神経細胞損傷により必ず起きます。記憶障害・見当識障害など。薬・環境でなくすことはできませんが、進行を緩やかにすることはできます。

BPSD:中核症状をきっかけに二次的に起きます。妄想・幻視・うつ・不安・興奮・徘徊・睡眠障害など。対応・環境・薬で改善できる可能性が高いです。


重要なのは「BPSDは変えられる」という点です。BPSDが強く出ているとき、それは「本人が何かに困っている」サインでもあります。


BPSDの主な種類と特徴


症状よく見られる内容関連する疾患
妄想「お金を盗まれた」「夫が浮気している」アルツハイマー型・レビー小体型
幻視「部屋に知らない人がいる」レビー小体型認知症に特徴的
うつ・不安気力がない・「死にたい」と繰り返す初期〜中期に多い
興奮・攻撃性怒鳴る・叩く・物を投げる介護場面でよく見られる
不眠・昼夜逆転夜中に活動・昼間は眠っている血管性・レビー小体型に多い
徘徊外に出ようとする・ウロウロする見当識障害が背景にある

なぜBPSDが起きるのか──3つの背景


BPSDが起きる主な背景

① 中核症状による不安・混乱:「何が起きているか分からない」という恐怖がBPSDを引き起こします

② 環境の問題:騒音・温度・慣れない場所・日照不足がBPSDを悪化させます

③ 身体的な不快:便秘・痛み・発熱・脱水・薬の副作用がBPSDの引き金になります


BPSDが突然ひどくなったときは、まず「身体的な問題がないか」を確認してください。発熱・骨折・尿路感染症がBPSDの急激な悪化を引き起こすことが多くあります[2]。


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BPSDを悪化させる介護側の要因


BPSDは介護者の対応によって増減します。次のような対応はBPSDを悪化させやすいため、意識的に避けることが大切です[3]。


BPSDを悪化させる対応パターン

  • 「それは違います」と否定していませんか
  • 「早く早く」と急かさないように
  • 大きな声・強い口調で話すのもNG
  • 突然後ろから話しかけないようにしましょう(驚かせる行為)
  • プライバシーへの配慮が不十分な介助にも注意(例:更衣介助で必要以上に露出させる)

  • いつ医師に相談するか


    医師・専門家への相談タイミング

  • 妄想・幻視が毎日のように起き、介護者が精神的に追い詰められてしまう
  • 暴言・暴力が激しく、安全に介護できない状況になっていますか
  • 「死にたい」「消えたい」という発言が続いていたら要注意です
  • 不眠が2週間以上続き、本人・介護者ともに疲弊している場合
  • 今まで見られなかったBPSDが急に悪化してしまったとき何が起こったのか原因検索が必要に

  • 薬物療法(非定型抗精神病薬・抗認知症薬・漢方など)はBPSDに有効なことがあります。ただし高齢者への投薬は副作用に十分注意が必要なため、専門医との相談のうえで慎重に行うことが大切です[4]。


    まとめ


  • BPSDは「中核症状→不安・混乱」によって引き起こされる二次症状──変えられます
  • 幻視はレビー小体型に特徴的、もの盗られ妄想はアルツハイマー型に多い
  • BPSDが急激に悪化したときは「身体的な問題(発熱・骨折・便秘)」を最初に確認
  • 急かす・否定するという対応がBPSDを悪化させやすい
  • 激しいBPSDは医師への相談サイン──薬物療法が有効なことがあります

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  • 妄想・攻撃的な言動が続く──「もの盗られ妄想」との向き合い方
  • レビー小体型認知症の基礎知識


  • [1]: 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」

    [2]: 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」

    [3]: Kitwood T. "Dementia Reconsidered" (1997)

    [4]: 厚生労働科学研究班「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)」(2016年)

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